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がんは不均質

暑い〜日がまだまだ続くらしい。
日本よりはずっとマシだが。
5ユーロで買った日焼け止めは塗ったらかゆくかぶれたので、使用中止。
少なくとも通勤くらいなら日焼け止めはなし。

さて、誰かが「肺がん」になったとしよう。
さて、このたった1人からのがん、一様に均一だろうか?
答えは「ノー」。
1人の患者のけっこう小さながんでも、その中を3カ所調べたら少しずつ性格が違う。
壊れている遺伝子も、病理像も微妙に違う。
これは以前から割と大きめのがんでは多様性があることが知られていた。
しかし、最近ミクロな解析がどんどんできるようになって、かなり初期から多様化していることがわかってきた。

一方で、そこから培養細胞を作ればどうなるか?
均一化してしまうのだ。
つまりいろいろ混ざっているがん細胞の中の「一種類だけが増えている」ものが、培養されたがん細胞なのである。
マイナーな細胞は培養中に駆逐されてしまう。
これを解析して、どういう遺伝子が壊れていて、関わっていて・・・などを調べていく。
そして、このがんに効く薬を捜す。
これが多くの化学療法に使われる抗がん剤である。

さて、普通手術なりバイオプシーなどでがんを取り、検査して、どういうタイプのものか調べる。
そして効きそうな抗がん剤を処方する。

しかし、実際の生体内では培養細胞とは違い、多様なままだ。
検査でひっかからなかった、マイナーながん細胞も混じっている。
一見最初のうち薬が効いて、がんがほとんどなくなったように見えるが、実際はこのマイナーな方にはあまり効いておらず、メジャーながん細胞が駆逐されたおかげで、かえってそれが増えてくる・・・。
もちろんこれらには、今までの薬は全く効かない。
これがかなり再発がんに多いと思われる、という知見が最近どんどん出てきている。

それではどういう多様性があるか?
また、現在広く使われているがん細胞系はどの程度カバーしているのか?(こちらは多分メジャーなものしか把握してない)
・・・は、まだまだ調査中だ。

さて、これらはヒトの患者を調査したものだ。
そして、「モデル動物は必須」。
もちろん研究や薬の開発をするのに培養細胞系は大切である。
しかし、細胞系ではこの多様性を把握できない以上、生体のモデルは必須である。

ところでマウスにできるがんも、もちろん多様性がある。
ただ、今までのところ再発がん、などという研究はほとんどやられていない。
近年ずっと細胞中心で、ヒトのがん細胞(←均一になってしまっている)を移植して、薬投与、の仕事が多かったこともある。
遺伝子操作などのがんは、基礎研究には使われても、それ以上の研究では使われていなかった。
こういうのは、年を取ってからできるという自然のがん発症に近いモデルなので、たとえ寿命が短いマウスでも半年以上、1年以上も待って地味に研究する必要があるので、コストも手間ひまもかかるからだ。
それに加え、マウスはヒトと違うからということで、ヒトの患者由来の細胞の方がヒトの患者に近い、と思われたこともある。

まあ、移植がんに効いても、遺伝子操作や発がん物質で起きたがんではあまり効きがよくない、というのは知られたことだったし、実際ヒトの患者でも治療法は何種か組み合わせる方がメジャーだ。
これがもっと議論や研究の対象になってきた、ということだろう。
世の中も多様性の時代だが、がんにも多様性の時代が来ている、というところか。

というわけで、1種類の細胞がもとでがんができている、という多くの人が疑っていた説も覆される日も遠くないだろう。
まあ、1種類の場合もあるとは思うが・・・。

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