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ラパマイシン

昨日は朝出勤する頃は5度、昼間も7−8度くらいにしかならなかった。
今日はちょっとマシで、10度は越えた。
特に日が射した時は・・・その後、一時的に土砂降りの雨が来て冷えたけど。
というわけで、とっても涼しいパリである。


ラパマイシン(rapamycin)という名前の薬がある。
Wikipediaにも書いてあるが、モトは天然物質で、イースター島の土の中から発見され、土壌にいる菌が作っていたものである。
このちょっと怪しげな名前は、イースター島の言語ポリネシア語からもじって付けた名前。
発見された時は、これがその後こんなにいい薬になるとは思われなかっただろう。
せいぜい、菌類の抗生物質として使えそうだということだったのではなかろうか。

これが免疫抑制剤として非常に有効で、臓器移植に用いられる。
けっこう副作用が低いのがいいところ。
(臓器移植の際は免疫系を極力抑えないと、妙に拒絶反応が起きて大変なことになる)

ラパマイシンはその作用経路(mTOR pathway)もよく研究されているので、それも非常に魅力的なところだ。

これだけでも十分魅力的だが、最近はがんにも効くということで注目されてきている。
また、マウスに長期投与すると、寿命の延長が見られる。

もちろん寿命を延ばすために普通のニンゲンが飲むことはできない。
何しろ免疫抑制作用があるので、感染しやすくなるからだ。
研究所の動物室は感染が起こらないように、かなり厳密にコントロールされている。
彼らは風邪も引かなければ、食べ物にあたって(←これも感染)お腹を壊すことも無い。
しかしニンゲンは誰でも、大変な腹痛や嘔吐で「アレがまずかったかな」という経験をしたことがあるだろう。
またインフルエンザや風邪でダウンすることも珍しくない。
つまり、まわりには病気を引き起こす菌やウイルスがいっぱい、なのだ。

しかし、がん患者のように病院である程度コントロールできる人たちにはトライアルが始まっている。
そのひとつがNF2(神経繊維腫症2型)。
これは脳の聴神経にがんができることで知られており、また髄膜腫というがんも頻発する。
どちらも悪性のがんではないが、できる場所が頭の中なので、手術も大変であり、小さくても聴覚や顔の神経に問題が起こることが多い。
しかもゆっくりと進行して行く大変な病気である。
少しでも普段の生活のクオリティを上げること、また、がんの進行を抑えることが目的だ。
そのため長期服用が可能な薬が必要なわけだが、ラパマイシンは少なくともマウスを使った実験ではがん抑制に効果があった。
というわけで、臨床トライアルがアメリカとフランスの病院で始まった。
あとは感染や長期服用の副作用との兼ね合いが問題で、これからどうなるか。

さて、ラパマイシンがmTORを阻害して、その経路を押さえているのはわかっているが、このmTORの経路と神経繊維腫というがんとの関連は、全くわかってない。
既存の薬でやってみたら効いた、という類いだ。
しかもちょっと似た系の神経性のがんのできるNF1(神経繊維腫症1型)では、細胞で効くという報告があるものの、その後の動物実験では効果が見られなかった。
(もともと、NF1の細胞で効くという報告がまず出たので、んではNF2もって試した感が強い)

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